COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、タバコの煙などの有害ガスを長い年月にわたって吸い込むことによって起こります。
COPDの患者さんは多数いるとされますが、医療を受けている人はそのわずか5%程度と考えられており大多数が見過ごされている現状があります。
COPDには肺気腫、慢性気管支炎の2つの病態が含まれます。
原因
COPDの原因は、わが国では90%以上がタバコ煙の吸入によるものです。患者さまの90%以上は自らが喫煙者ですが、受動喫煙でも発症することがあります。タバコを吸う人の全てに起きるわけではありませんが、喫煙者のおよそ30%はCOPDになるリスクがあると考えられています。さらに、大気汚染や職業上の粉塵も時にCOPDを引き起こすことがあります。
検査について
初期の段階では呼吸困難や咳・痰などの症状が出ないことが多く、さらに、胸部のレントゲン写真やCT撮影でも典型的な異常所見が認められないことも少なくありません。このために、早期診断がされず、適切な治療が行われずに進行してしまうことが多い疾患でもあります。
確定診断には呼吸機能検査を用います。1秒間に吐き出せる空気の量を「1秒量」、最大努力で吐き出した時の肺活量を「努力性肺活量」といいます。この1秒量÷努力性肺活量=1秒率といい、この値が気管支拡張薬を吸った後でも70%未満の場合、COPDと診断されます(気道が狭くなる他の病気の除外は必要)。
治療方法
COPDの治療は、禁煙、薬物治療、全身管理の3つから成り立っています。
現時点で、喫煙されている方には、まず禁煙からはじめていただきます。次に症状・病状の段階によって、長時間作用型抗コリン吸入薬や長時間作用型ベータ刺激吸入薬などの薬物投与による治療を行います。これらを有効に安全に用いることで、息苦しさ和らげ、呼吸機能の低下を遅らせることが可能です。
そして、バランスのよい食事を摂り、適切なリハビリや筋トレを行うことで、身体全体を衰えさせないことが必要です。適切な食生活や適度な運動は、COPDに合併しやすい糖尿病などの生活習慣病を改善し、脳卒中・心筋梗塞などの病気を予防する上でも有効です。さらに、うつ状態に陥らないように、適切な睡眠を取り、気持ちを前向きに保つことも大切です。
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